弊社がサポートを行った空間的遺伝子発現に関する研究が論文化されました
弊社がサポートを行った研究が、学術誌に掲載されました。
本研究では、前立腺癌(PCa)の予後不良を強く示す指標である前立腺導管内癌(IDC-P)について、その分子的特徴を明らかにするために、10x Genomics社のプラットフォームを用いた遺伝子発現プロファイルとコピー数変異(CNVs)解析が行われました。
弊社でサポートさせて頂いた空間的遺伝子発現の差次的発現解析により、組織切片上のIDC-P領域が特定され、その遺伝子情報が網羅的に解析されました。その結果、IDC-Pは主成分分析において他の腺癌成分と異なるトランスクリプトームクラスターを形成し、FOLH1(PSMA)やPSCA、PLA2G2Aといった遺伝子の高発現を示しました。
さらに、この空間情報を基にIDC-P領域と非IDC-P癌組織領域を正確に区別し、両者間で遺伝子発現の差を比較した結果、IDC-P領域では走化性や白血球遊走、小細胞肺癌に関連する遺伝子セットの発現上昇が明らかになりました。この知見は、IDC-Pが治療関連神経内分泌前立腺癌へ進行する潜在的な可能性を示唆しています。
対照的に、非IDC-P領域では細胞外マトリックス構築に関連する遺伝子の発現増加が見られました。
また、空間情報を活用したコピー数変異解析では、6例中4例においてIDC-P領域と非IDC-P癌領域を区別する特徴的なパターンが同定されました。
これらの空間的遺伝子発現解析から得られた知見は、IDC-Pが通常の腺房型腺癌とは生物学的に異なる要素であり、既存の導管構造を通じた空間的な腫瘍の進行を反映している可能性を示唆しています。
論文情報
タイトル
Spatial transcriptomics of intraductal carcinoma of the prostate
DOI
https://doi.org/10.1111/his.15551
掲載誌
Histopathology
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